図3-2は、1995年時点の実質GDPの水準を100とした指数の変化、表3-2は1994年から2000年の実質GDP成長率の変化である。
図 3-2 実質GDP指数の変化
表 3-2 実質GDP成長率の変化 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
(単位:パーセント) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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出典:International Financial Statistics, IMF |
実質GDPの動きも為替レートの変動と同様に2つに分類して説明することができる。タイ、インドネシアでは1997年から98年にかけて実質GDPの水準は大きく下落した。タイの場合1997年、98年と2年連続のマイナス成長を記録し、98年にはGDPの水準は1995年の水準以下に下落してしまった。インドネシアの場合、1997年には5パーセント近い経済成長を記録したが、98年にはタイ以上のマイナス成長を記録し、99年もほとんどゼロ成長に近い水準だった。その後の2国の経済成長率は、アジア通貨危機前の6パーセントから8パーセント台の水準から、半分の3パーセントから4パーセント台となっており、2000年に実質GDPの水準はようやく1995年のレベルに回復した。
一方、フィリピンは1997年に小幅なマイナス成長(マイナス0.5パーセント)を記録したが、翌年からは再び経済成長を取り戻している。3国の中では1995年と2000年の間に最も高い経済成長を記録した。しかし、フィリピンは通貨危機前から実質GDP成長率は4パーセントから5パーセント台であり、インドネシアやタイが1980年代後半から経験した「東アジアの奇跡」の時代を経験することもなかった。また、通貨危機後の成長率は3パーセント台に低下しており、中長期の経済成長軌道を上昇させることが課題となっている。